2011年11月23日水曜日

『Tとパンツとイイ話』 感想

今日はMF文庫Jの『Tとパンツとイイ話』の感想でも。
 第7回MF文庫J新人賞<優秀賞>受賞作品。つまり我々ワナビが目指すべきひとつの目標に辿り着いた作品というわけだね。書いてなかったけど、昨日感想記事を上げた『おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!』も第2回ネクストファンタジア大賞金賞受賞作。
 新人賞受賞作は当然新作だから、すでに何冊も出てるシリーズものを一気に買わないといけないというような事態にもなりにくいし、ワナビ的にもいろいろ学べるところがあるんじゃないだろうか。特に自分が投稿して落ちた回の受賞作とかね。僕はこないだのSDが初めてなので、まだ1年ぐらい待つ必要があるけど。
 ともかく感想。



 とりあえずあらすじ。Amazonから引用。


「朝、日渡陽太が目を覚ますと後頭部が抱き枕のジョゼ子と一体化していた。この抱き枕は悪友の影時から預かってくれと頼まれたもので俺の趣味ではないんだけど、このシルエットはどう見ても……"T"!! しかたなく「斬新な髪型」で押し通すことにして出かけるが、登校途中でぶつかった女の子の胸と俺の手が一体化してしまう。「ちょっと……、どういうことなの」――冷たい目で俺を見上げる女の子は幼なじみの光里だった。む、胸の感触が直に……ともかくっ、いったい俺の身に何が起こってる!? 第7回MF文庫J新人賞<優秀賞>受賞! 怒濤の合体ラブコメ、はじまる!!」


 このあらすじからすると意外というかなんというか、異能バトルものであった。と言うと語弊があるか。思念糸とか思念力とか思念塊とか。まあ感想記事でそれらの作中用語をいちいち解説するのもどうかと思う(というか面倒)のでそれは置いておくとして、ともかく物体を融合させたり分離させたりする能力とか、お金を金額の多寡で戦闘力に変換する能力とか、テレポート能力とか、そんな感じのものが出てくる。
 でもまあメインはラブコメってことでいいんじゃないかな。
 MF文庫の、というか最近のラブコメとしては、女性キャラが少ない。主人公とのフラグが発生するヒロイン格ともなると、上記のあらすじにも出てくる光里1人だけ。これはかなり思い切った選択じゃないかと思う。MF文庫の傾向、いや、昨今流行りのラノベの傾向を考えると、ヒロイン格が2人は欲しくなるところじゃないかな。個人的には好みの子だったのでまったく問題はないんだが、これが受け付けない人にとっては萌え方面での訴求力が無くなってしまう。まあ続刊で増えそうな気がするけど。
 目立っているのはヒロインよりもむしろ男連中のほうだろうか。別にヒロインが空気というわけではないんだが、いかんせん主人公・陽太の親友である影時の変態キャラが目立つ。ラノベにおける変態キャラっていうのはそれはもうかなりの数が存在してるんじゃないかと思うんだが、この影時はその中でもわりと突き抜けている感がある。「とりあえず変態書いてみました」というお手軽感はあんまり無い。ていうか普通に主人公より目立ってる。あとはクールなロン毛美少年の天川星也。こいつが地味にムッツリ野郎で、そこがなかなか良いキャラをしているんじゃないだろうか。
 影時であったり光里であったり、どちらも基本的にボケ役で、主人公をツッコミ役に据えての掛け合いがこの作品の肝となるだろうか。キャラの掛け合いによるギャグやらコメディやらは僕の好物でもあるんだが、これはかなり面白くて笑ってしまったところも多かった。当たり前のことかもしれないけれど、読んでて笑えるというのは大きい。


 キャラは良いし掛け合いも面白い。んだけど、微妙な点もあって、それが最初に言った異能うんぬんのあたり。
 根っこの設定自体は別にいいんだけど、それの使い方が良くないというか使い切れてないというか。
 陽太が異能をフルに発揮するためには動いて喋るぬいぐるみ・コンが近くにいないと駄目なんだが、その割に陽太とコンの関係はほとんど描かれない。というのもコンは普段、陽太ではなく可愛いもの好きの光里と一緒にいるからだ。この辺もうちょっとどうにかならんかったのかな、とか思ってしまう。そもそもコンが目立つのって3話構成の最初の1話目だけで、あとは空気っぽいし。
 もっと言ってしまうと、「なんでその能力なの?」という点も気になる。何の説明も無ければ別にそれでも構わないんだが、陽太が異能を手に入れることになったのはコンと相性が良かったから、という説明がある。相性が良いっていうなら、異能の特性とキャラクターのパーソナリティを関連付けるとか、そういうのあったほうが良いんじゃないだろうか。
 まあメインはあくまでラブコメであって異能がどうこうはおまけなのかもしれないし、続刊のために取っておいてあるのかもしれないけど。続刊と言えば、あからさまに「続きます」という締め方もどうなのかと思う。


 というわけで総合的には面白かった。続刊出るなら買う。いやまああの終わり方で出なかったら寂しすぎるが。でも続刊で「新ヒロイン登場!」とかやられると(´・ω・`)ってなるので回避していただきたいが……。ああ、1巻ではチョイ役だった妹の茜がメイン級に格上げされるなら一向に構わん。むしろやれ。
ところでこの『Tとパンツとイイ話』という作品、全3話構成で1話が「T」、2話が「パンツ」、3話が「イイ話」(作者は「イイ話」に当たるのはあとがきだと言っているが)という構成になっているのだが、続刊のタイトルはどうなるんだろうか。3話の「イイ話」だけ固定で、「◯◯と◯◯とイイ話シリーズ」みたいな感じになるのかな。


0 件のコメント:

コメントを投稿